【文化史・民俗学】
水田をめぐる民俗学的研究
    ―日本稲作の展開と構造―

安室 知 著

A5判上製640頁
定価:本体16,000円+税
ISBN4-87449-089-1 C3039
2007年刊行

在庫有
【内容紹介】

日本人の主食である米を育む水田は、日本の歴史と切り離して考えることのできないものである。また水田は米を作るだけでなく漁撈や、狩猟、畑作などの生業にも利用されてきた。かつて、農薬や化学肥料が多用される以前、水田はドジョウやタニシの繁殖の場であり、カモやガンにとっては越冬の地となっていた。人々はそうした水田環境で自給的な漁撈や狩猟を行ってきたのである。本書はその点に注目し、水田利用の実態とその歴史的意義を明らかにしたものである。


【著者プロフィール】

安室 知(やすむろ さとる)
1959年、東京都生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科(修士課程)修了。現在、国立歴史民俗博物館研究部(助教授)、総合研究大学院大学助教授を併任。専門は、民俗学(生業論・環境論)と物質文化論
【主要目次】

T 課題と方法 ―序論―

 第1章 民俗学における環境論の可能性
 第2章 民俗学における生業研究の現状と課題

U 水田稲作地における生業複合の諸相

  ―水田を利用した畑作・漁撈・採集のあり方―
 第1章 平野の溜池稲作地における生業複合
 第2章 低湿地帯の稲作地における生業複合
 第3章 谷地の稲作地における生業複合
 第4章 山間の棚田稲作地における生業複合
 第5章 南島の稲作地における生業複合

V 水田稲作地における生業複合の展開

  ―水田養魚に注目して―
 第1章 水田養魚の成立
 第2章 水田養魚地の拡大
 第3章 水田養魚の諸展開
 第4章 水田漁撈から水田養魚へ

W 水田の潜在力とその民俗的意義

 第1章 水田の持つ多様な水環境を作り出す機能
 第2章 水田の持つ生業内部化の機能とその意義
 第3章 日本における稲作地の生計維持システム
 第4章 日本稲作の歴史的展開に関する仮説
【関連書の紹介】 水田漁撈の研究稲作と漁撈の複合生業論
田んぼでの魚取りを、食、まつり、漁具、民俗技術を通して、日本人と水田環境とのかかわりから、水田稲作と漁撈の実態・文化史的意義について考察し、新たに水田漁撈を提唱。日本人の民俗文化・生業史における漁撈を論考する

安室 知 著
A5判上製480頁
定価:本体10、000円+税
ISBN4-87449-091-3 C303


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