【文学】 | |
宋王之印 国江春菁著 岡崎郁子訳 A5判上製392頁 定価:本体2,800円+税 ISBN4-87449-037-9 C0097 2002年刊行 在庫有 |
|
【内容紹介】 | |
台湾在住の日本語俳句作家 黄霊芝の本邦初小説集 軽妙、洒脱にしてユーモアとペーソスを備える。政治に関わることは意図していないが、戦後台湾の50年史をひもとくがごとく台湾社会を余すところなく伝えている小説群である。 |
|
【著者・訳者プロフィール】 | |
国江 春菁(クニエシュンセイ) 作家・彫刻家。1928年、台湾台南市に生まれる。20歳頃より創作を開始。現在、台北俳句会会長。ペンネ-ムは他に黄霊芝を使用 岡崎 郁子(オカザキイクコ) |
|
【主要目次】 | |
◆主な内容◆ 「毛虫」 バスの中で膝上を這っていた毛虫を安全な場所まで運んでから放してやろうと奮闘する男の話。 「宋王之印」 骨董を蒐集するマニアの喜びとスリル、ロマンをを余すところなく描き出している。 「古稀」 老いと死をブラックユーモア風に描いた作品。 「癌」 人間の心理を諧謔的に捉えた短編。 「紫陽花」 現実に起こった忘れ得ぬ美しい少女との思い出を恋愛小説に描いた。 「ふうちゃん」 「ぼく」と少し年下のいとことの子ども時代を感性豊かに謳いあげた一篇。 「夢」 社会全体が狂気の中にあるともいえる現代に生きる人間の精神の不安定さ、不確かさを表現している。 「豚」 生活に不自由を覚えたことのない年若い芸術家が、困窮し、果樹栽培をはじめ、やがて豚の世話に振り回されるようになる顛末を描いた一篇。 「天中殺」 主人公の貸し家をめぐる狂騒曲。 「竜宮翁戎貝」 戦前台湾で教鞭を執っていた日本の教諭の遺言で子息が四億年前の古生物である竜宮翁戎貝を台湾へ返しに行く話。 「『金』の家」 新しい時代の到来を信じた新しい考えの女性が、「家」や「血の繋がり」といった封建的な因習から結局は抜け出せず、振り回される姿を描いた。 「蟹」 人間を含む生物の生と死、或いは贖罪としての死、子孫を残すための自己犠牲を描いたもの。 「におい」 ポマードのにおいに敵意さえ持っている四十男がバスのとなり座席に若いポマード男が座ったことから二人の丁々発止がはじまる。 「輿論 」身持ちの悪い妻を夫が殺したというだけの事件が、世間と輿論を背景に政府を巻き込み暴動さえ起 きかねない大事件へと発展して行く。 「董さん」 「董さんの父親は日本人だったために台湾人により殺されたが、董さんは台湾を愛したがゆえに中国人に殺された」という作中の一文に凝縮されている。 〈解説〉時空を超えて 岡崎郁子 |
【書評の紹介】2002年4月「東京新聞」 |
◆TOPへ ◆ 新刊案内 ◆近刊案内 ◆書名検索 ◆常備店 ◆注文について |